内容説明
戦時負担に苦労する大名、規則で縛られる兵士、占い師まがいの「軍師」たち、戦後処理の明と暗…裏舞台から見えてくる「人・物・金」の軍事システム。戦国の「リアル」を読み解く。
目次
序章 戦国大名の権力構造
第1章 将兵の動員―戦いの「経済的負担」
第2章 軍装と武具―戦場の「装い」と「兵器」
第3章 戦場の掟―軍の「法律」と「統率」
第4章 兵糧の確保―勝敗を決する「兵站戦」
第5章 軍師と戦術―その存在の「虚実」
第6章 戦いの実相―野戦・攻城戦の「凄惨」
第7章 戦後処理―「恩賞」と「制裁」の明暗
著者等紹介
渡邊大門[ワタナベダイモン]
1967年神奈川県生まれ。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、株式会社歴史と文化の研究所代表取締役(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
56
戦国期のいくさとは大名が命令するや槍や鉄砲を担いだ足軽が走り、それを騎馬軍団が追いかける姿が思い浮かぶ。ドラマや映画で馴染みだが、実際にはそんな単純なものではないことを教えてくれる。国衆の支持を失えば大名も滅び、戦いに備え兵站や軍法まで整えられた側が勝利する。戦場に到達する前に軍政軍令両面で大量の書類が動き、縁起担ぎの占い師の側面が強い軍師が勝利のため吉日を選ぶのだ。桶狭間や長篠など有名な戦闘も実情は全く不明とは、戦国好きの歴史ファンに冷水を浴びせかける正しさだ。著者が歴史小説を書いても売れないだろうな。2021/02/13
ポチ
50
戦国時代はかなり地味で細かく、ドラマや映画などの派手な戦術は無かったのではないかと…。かなり脚色されドラマチックにされているらしい。面白おかしい方が読んだり見たりするには楽しいが…。やや専門的になるが色々な事情が掲載されていて良かった。2021/03/29
宇宙猫
18
挫折。さして新しくもない細かいことがダラダラ書かれている。「将兵の動員」「軍装と武具」などのテーマ別のため同じ大名について何度も説明されてうんざりしてくる。"戦国大名の..."というタイトルなのだから、大名ごとにまとめて欲しい。2021/05/23
Tanaka9999
16
2021年発行、柏書房の単行本。8章。テーマ別にできる限り1次資料により解説している。資料が偏るので仕方がない面はあるかもしれないが、織豊時代に近い時代の解説が主になってしまっている。戦国前期(というか室町時代中期以後)はあまり大きな軍勢の争いがなく資料も不足して解説しずらいかもしれないが、違いとかはできる限りあげれるような人はいないものだろうか。(ただ、面白い読み物にはならないかもしれないですが)2023/08/13
bapaksejahtera
10
戦国時代の戦さは、近世武家政権や明治以降近代史に於ける歴史劇や文学、或いは軍事常識の公式化(旧軍による軍事史刊行)によって、史観や関心が固定/偏頗してきた。本書では戦さに関する様々な事象を、出来る限り一次資料に基づき明らかにすることを試みる。これまで常識とされた多くの歴史事項には、様々な異論がある。むしろこれらは資料不在や疑わしさの為、確定されない。兵農分離の画期とされる刀狩りの形態様々、軍装軍備兵糧調達の実態、軍師や軍学の実像、戦闘褒賞としての乱取り(人身略奪)許容、城攻め様々等、興味深い記述に溢れる。2021/07/03